鉄道に触れない「ネットワーク再編」とは?
バス同士の乗継?
乗継拠点が11カ所略地図に示されていますが、そのうちバス同士の乗継が6カ所で、鉄道駅は5カ所に過ぎません。イメージ図に示されている岐阜市出典のイラストもBRTからフィーダーバスへの乗継拠点になっています。また「バスと路面電車の適切な組み合わせによるネットワークの再構築」と書かれており、鉄道に関してはノータッチです。
定時性・高速性の高い鉄道との乗り継ぎに比べ、バス同士の乗り継ぎは利便性の低下が目立ってしまいます。特に岡山市は道路の渋滞が激しいためバスの定時性に難があります。まずは鉄道を中心にサービス向上、乗継拠点の整備を進めるのが王道ではないでしょうか。
岡山の鉄道網の実態
岡山市は、岡山駅を中心に7方面ものJR路線が伸びる鉄道の交通結節点です。しかしその運行頻度は乏しく、例えば両備バスの西大寺線が約120往復走っている横の赤穂線は38往復に留まっており、西大寺以東は7時台に1本しかなく地元の高校生で大混雑しています。(詳しくは岡山の交通に関する講演資料参照)
また駅間も都市内鉄道としては長い2kmを超える区間が多くあります。1980年代以降3駅が開業し利用されていますが、同じJR西日本でも近畿エリアほどは新駅が開業していません。
駅名 | 路線 | 開業前駅間 | 開業年 | 乗車人員(2016年) |
高島 | 山陽本線 | 7.3km | 1985年 | 3,279人 |
上道 | 山陽本線 | 8.1km | 1986年 | 1,450人 |
北長瀬 | 山陽本線 | 6.5km | 2005年 | 4,182人 |
西川原 | 山陽本線 | 4.5km | 2008年 | 3,553人 |
岡山市の鉄道への投資は及び腰
岡山市総合交通計画では、「新駅設置、運行本数増強 等」もメニューに上がっていますが、10年かけて事業化を目指すというレベルで、優先度は低いようです。
同計画へのパブリックコメントで鉄道の増発に対する要望が上がってきていましたが、岡山市は「鉄道の運行本数は、JR西日本が利用者数等を踏まえて判断するものと考えております。桃太郎線では、LRT化に伴って高頻度運行への増便を検討することとしていますが、その他の路線について、補助金を出して増便に取り組むことは現在考えておりません」と、JR西日本に全て判断を預けています。
吉備線LRT一点豪華主義で良いのか?
鉄道の増強にはもちろん大きな費用がかかります。新駅設置には10億円程度、鉄道車両の購入には1億数千万円かかります。また山陽本線における貨物列車と都市内列車との両立には、信号システムの改良や退避線の増設などの設備投資が必要になる可能性もあるでしょう。しかし吉備線のLRT化には240億円も投資する一方で、他路線には全く投資しないというのは、極めてアンバランスです。
増便および新駅設置により鉄道の利便性を上げた上で、バスをフィーダー交通として結節して、公共交通網全体のサービスレベルを上げて自動車からの転換を促すことこそ、岡山市の目指すべきネットワーク再編ではないでしょうか。