バス遅延改善システム「DiaBrain」JCOMM技術賞受賞

2025年9月12日(金)、第20回日本モビリティ・マネジメント会議(略称:JCOMM)にて、当社(株)トラフィックブレインによる「Dia Brain ~バスロケデータを用いた遅延改善のための自動ダイヤ改正支援システム~」が、技術賞を受賞しました。

受賞概要

本システムは、バスロケシステムの蓄積データを用いて、遅延の少ないダイヤ(時分)を自動で生成するものです。両備グループ・東京大学との産学連携PJの取組として、2018年にトラフィックブレインにより開発された後、岡山・東京・熊本・富山のダイヤ改正に用いられました。いずれの地域においても遅延が改善しバスの信頼回復および利用促進に貢献しただけでなく、熊本においては一連のデータ活用や利用者増の取組のきっかけとなりました。本取組の特徴は以下の通りです。

【新規性】バスロケデータを元に実態の可視化だけでなくダイヤを自動生成する。早発と遅延吸収のトレードオフや時間調整バス停等をパラメータ化し、ベテラン担当者でも難しかったダイヤ改正を自動化した。

【有用性】バスへの不満の上位である遅延の解消はバスの信頼回復に貢献する。大規模バス事業者では1分の待ち時間短縮が年1億円前後の便益がある。ダイヤ改正作業の自動化は労務軽減につながる。

【完成度】両備バスでは全体的な遅延が10.3分から5.6分に約半減したほか、他事業者においても3割前後の遅延が削減された。運転手の定時運行への意識が高まり、気持ちよく乗務できるようになった。乗客も遅延の縮小を実感し、バス停での時間調整やパターンダイヤ崩れは問題視されなかった。両備グループ4社を始め、京王バス、熊本4社、富山2社に展開した。

【信頼度】ダイヤ改正ノウハウを、学会発表等を通じて公知にした。複数の事業者にてダイヤ改正前後の実測値に基づく効果測定を行った。

【協調プロセス】バス会社、システム会社、コンサルタント・情報技術者によるオープンイノベーションとして、PJ発足から4か月間でダイヤ改正を行うスピードで実施された。熊本では、外部人材と協力しながらデータに基づき改善に取り組む風土が醸成され、無料デーの効果測定、ICカード・バスロケ分析システム、利用者2倍構想など、一連の取組に繋がった。

JCOMM実行委員会から講評

バスロケシステムの蓄積データを用いて遅延の少ないダイヤを自動生成するシステムによって、3~5割程度の遅延削減という明確な成果に加え、乗務員の意識向上等の効果が得られていることは高く評価できます。また日本有数のバス事業者への展開がなされ、様々な主体が協力して社会課題を解決する機運が生まれていることは、MMの観点からも高く評価できる取組だと考えられます。以上のことから、JCOMM技術賞に選定されました。

発表ポスター