全国の地域バスロケ情報統合状況 ~「岡山・神戸モデル」が今後の基準に?

こんにちは。トラフィックブレインの太田です。

バスロケ情報の統合は神戸市だけではなく、各地で検討・整備が進んでいます。

全国の地域バスロケ統合状況

たくさんありますねえ。。。

岡山都市圏

神戸市への提案のひな型となっている岡山都市圏では、高野さんが宇野バス・下電バスに入れている「バスまだ?」を開発し、標準化・オープン化を進めています。宇野バスは、Google Mapsで表示される日本で唯一のバスロケです。

両備グループのリオス社が開発する「Bus-Vision」も、現在標準化・オープン化を進めています。これを伊藤さんと太田がサポートしています。「Bus-Vision」は中鉄バスにも使われており、時刻表のサンプルデータ作成までは進んでいます。

宇野・下電の「バスまだ?」や、岡電・両備・中鉄の「Bus-Vision」のユーザ向けサイト・アプリの使い勝手は個人的には不満はたくさんありますが、Google、Yahoo!などに出るようになれば気になりません。

岡山での進め方のポイントは2つです。

  1. 時刻表とバスロケをセットで標準化・オープンデータ化している
  2. 市や県が開発を負担するのではなく、バス事業者・バスロケ会社の投資として行っている

これらの特徴を持った「岡山・神戸モデル」でデータを整備・公開することが、UIKのアプローチです。

ただ意思決定に関しては、オーナー企業ならではの直感とトップダウンで進められた岡山の方法を全国で展開するのは難しい面もあります。そこで、市がコーディネーターとなって進める手法を神戸市で確立しようとしています。

佐賀県

県が主体となり、ユニ・トランド社のバスロケの新規導入を2017年度から進めています。この標準化・オープン化を高野さんがサポートしています。

オープンデータ化について、時刻表については記載されていますが、バスロケについては未定義のようです。

情報提供は「もくいく」というユニ・トランド社の全国兼用システムが使われていますが、鉄道が出ないのと、アプリの評判が★2.2と非常に低いのが気になります。仕様には「WEB またはアプリは、佐賀県以外の地域におけるバスの運行情報も閲覧可能であること。」とありますが、北海道(18社)・三重県(13社)がほとんどの40社のみで、隣県の福岡県や西鉄バスが使えないなど、面的な有用性はありません。

 

富山県

佐賀県と同様、県が主体となって新規導入を進めています。

「WEB またはアプリは、富山県以外の地域におけるバスの運行情報も閲覧可能 であること。また、日本語以外に少なくとも英語にも対応していること。」

とっくに入札は終わり、もうワーキングに入っているはずですが、落札業者が公開されていないのが気がかりです。

静的データは標準的バス情報フォーマットと記載されていますが、バスロケが未定義なのと、オープン化について「将来的にオープンデータ化が可能なものとする」という記載にとどまっているのが気になります。

大分県

大分県バス協会の中に検討委員会を作り、モバイルクリエイトのバスロケシステムを入れていくようです。

仕様書を見ると、標準化・オープン化に関する記載が一切なく、非常に不安があります。

情報提供についても、他県の情報を見られるようにするという記載がなく、モバイルクリエイトのバスロケを導入している沖縄県のサイトのように、大分県専用サイトができて終わりにならないか、気になります。

首都圏(番外編)

東洋大学の坂村健教授をリーダーに、公共交通オープンデータ協議会が「東京公共交通オープンデータチャレンジ」を2017年度に行いました。ここで各バス会社の時刻表データと、都バスについてはバスロケのデータが利用可能でした。

しかし、次のような課題があります。

  • データ形式がまちまちで、GTFS系に比べ内容が乏しく、経路検索で利用困難
    • 伊藤さんによる検証結果(公共交通オープンデータ最前線 in インターナショナルオープンデータデイ2018)
      伊藤さんによる検証
  • 4年前の山手線以来コンテスト止まりで正式運用されておらず、利用範囲もコンテスト内に留まっている

標準化の必要性を認識し、コンテストだけでなく既に稼働している乗換検索サービス等で取り込めるような利用権利関係の整理を、ぜひとも進めていただきたいところです。

ノウハウ共有・団結を!

このように、各地でバスロケ情報の統合は各地で進んでいますが、手法はいろいろと迷走しています。ぜひ「神戸・岡山モデル」を確立しつつ、全国の関係者ともノウハウを共有しながら、団結して良い手法・技術を広げていこうと思います。